牛の皮膚縫合への試み一理没縫合法一

摘要

乳牛の第四胃変位整復手術において，皮膚閉鎖に埋没縫合を適用し，その経過を観察した。 その結果，85頭中82頭で，化膿や癒合不全を起こすことなく，創は順調に癒合した。 また，1頭の試験牛に対して，腹部傍正中部皮膚4カ所に，埋没縫合，結節縫合，臥褥縫合（絹糸および獣腸線）を施し，経過を比較観察した。 その結果，埋没縫合では創が最も速やかに癒合、閉鎖した。 結節縫合，臥褥縫合（絹糸）では，汚れの付着が多く，抜糸部の瘢痕がはっきりと残った。 臥褥縫合（獣腸線）では，癒合が遅延した。 埋没縫合法は，抜糸を省略でき，術部への感染を最小限に抑えられる有用な方法であり，牛の皮膚縫合に応用可能であった。