シリーズ：大動物診療のための臨床角牢剖セミナー＜5＞:前肢，肢端部（中手、指）の臨床解剖

摘要

質問：牛の前肢，肢端（中手、指部）の構造とそこを走る主な血管神経を教えて下さい。 ポイント：前肢は臨床的には股端部が重要です。 肢端の構造は複雑ですが，骨格，関節，筋腱，血管神経とわけて整理するとわかりやすいようです。 解説：（骨格／関節）前肢遠位部の骨格は癒合した中手骨，その下端部で2本の指骨（基節骨、中節骨，末節骨）がそれぞれ鞍関節を形成し連結します。 中手骨と指骨を繋ぐ関節は球節といい，以下，冠関節，蹄関節と続きますが，これらとくに球関節の関節包は広く，背側嚢や掌側嚢と呼ばれます。この関節包（嚢）は中辛骨や指骨とその上を走る腱との間に広がります（図1，図2）。