臨床診断が困難な成牛型牛白血病2症例 に対する画像診断および細胞診の応用

摘要

典型的な外部所見および血液所見を示さない成牛型牛白血病の2症例に対して，画像診断および細 胞診を用いて総合的に生前診断を試みた。2症例とも牛白血病ウィルス抗体検査は陽性であつたが， 体表リンパ節の腫大を認めず，6-8病日目に実施した血液検査で異常所見は認められなかった。 症例1は直腸検査で左子宮体部に拳大腫瘤が認められ，その後急速に子宮全体に波及した。症例2 では食欲不振，発熱が主症状として認められた。両症例とも，超音波検査および内視鏡検査を実施 したところ腫瘍が強く疑われ，症例1では子宮内容物の細胞診により異型リンパ球を確認し，症例 2では再度の血液検査により異型リンパ球の出現が認められたため，成牛型白血病と確定診断した。 以上の成績から，画像診断および細胞診を用いることは牛白血病の確定診断に有用であると考えら れた。