一肉豚農場の離乳豚および肥育豚における事故低減事例

摘要

死亡事故の多発する一肉豚農場において，2002～2004年度に毎月2回実施している獣医師による巡回を通じて，原因究明のために行った病畜豚の鑑定殺所見と食肉検査成績を調査した。その結果，離乳直後の調査では多量の天然ゼオライトの盲腸内の滞留と豚サーコウイルス2型の感染を，約45日齢の調査では化膿性肺炎と問質性肺炎を，約90日齢調査では削痩豚に豚増殖性腸炎を，約90～120日齢調査では腹囲膨大豚に直腸閉塞による腹膜炎を認めた。 食肉検査成績調査では，マイコプラズマ性肺炎，寄生虫性肝炎が高率に見られた。 これらの調査結果に基づいて，原因の除去，抗生剤と抗寄生虫剤の投与，衛生管理の改善を実施したところ，2004年の死亡率は（6.1％）2001年（12.7％）に比べて低下し，2004年度の引受頭数は，離乳直後の子豚の死亡率低下により2002年の対比で117％に増加した。