カキのたんそ病

摘要

病原菌は枝の病斑のなかで菌糸の状態で越冬しますが、被害芽のなかでも越冬する場合もあります。被害芽で越冬した病原菌は、翌春になって発芽した直後の芽に侵入し、芽を枯らします。 枝で越冬した病原菌は、3月下旬頃からの降雨で病斑の表面がぬれると胞子を形成し、第一次伝染源となります。病斑上に形成した胞子は、表面がゼラチンのような物質で覆われているため、風などによって飛散することはありません。 雨水によってゼラチン質が溶かされ、溶け込んだ胞子が水滴の飛沫と一緒に伝搬されます。新しい組織に達した胞子は、発芽管を出し、その先に付着器を作ります。 付着器から穿入管を出し、角皮を突き破って表度細胞を貫通し、細胞内に侵入します。 胞子の発芽は気温25℃内外が適温です。 侵入した病原菌は、7～10日くらいの潜伏期間を経て発病し、降雨があると新しい病斑上に胞子を作ります。 この胞子が第二次伝染源となって、さらに被害が拡大します。