品種登録制度における出願品種数および登録品種数は、昭和五三年の制度発足以来概ね増加傾向で推移してきた。農林水産省食料産業局知的財産課によると、平成二六年三月末までの累計では、出願件数は三万二八四件、登録件数は二万四二七五件(http://www.hinsyu.maff.go.jp/tokei/tokei.html)であった。果樹では、登録件数が 一二八一一件であり、草花類(一万四七五八)、観賞樹(四一八三)、野菜(一六一一三)、食用作物(一三三〇)につぎ国内第五位の多さになっている。また、育成者権の侵害については、平成一七年四月一日-平成二七年三月三一日までに独立行政法人種苗管理センタ—(以下、種苗管理センターという)に寄せられた侵害相談件数二八一のうち果樹に開するものは一七%ぁつた。このような状況の中、農林水産省において平成二七年三月に「新たな食料.農業-農村基本計画」が策定され、農林水産物の海外展開等の促進が施策となっていることから、さらなる育成者権の保護、強化と品種保護に向けたD N A品種識別技術の実用化が求められている。そこで、本稿では、果樹における育成者権者の保護等に関する情報を提供するため、種苗管理センタ—が行つている品種保護活用のための対応として、①種苗管理センターにおける品種保護.活用について、②DNA分析技術の導入.拡大、③これまでに導入した主なDNA品種識別技術、④登録品種等の標本、DNA保存事業での保管について等を報告する。
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