S－1＋CDDP療法により組織学的CRが得られたStage IV進行胃癌の1例

摘要

症例は60歳，男性。 体重減少，心南部痛および黒色便にて当院を紹介され，高度の貧血のため入院となった。 腫瘍マーカーはCA19－9が934ng/mLと高値であった。 胃X線·内視鏡検査では，胃体部小雪から後壁に3型進行胃癌（por2）を認めた。 腹部CTでは，胃周囲および腹部大動脈周囲リンパ節にも転移を認め，M，type3，por～2，CT3，CN3，CH0，CP0，cM0，CStage IVと診断した。 術前化学療法（S－1＋CDDP療法）を2クール行い，胃癌およびリンパ節の縮小を認めCA19－9も76ng/mLまで低下した。 その後，幽門側胃切除術およびリンパ節郭清術（D2）を行った。 手術標本および摘出リンパ節には線経化を認めるのみで癌細胞は消失し，組織学的CRが確認された。 その後1年間経過観察中再発を認めず，CA19－9も24ng/mLと正常範囲を維持している。