術前TS－1/Low－DoseCDDPにより膵頭十二指腸切除が回避できた十二指腸浸潤胃癌の1例

摘要

59歳，女性。 体重減少，腹部膨満で受診した。 上部内視鏡検査で十二指腸下行脚に浸潤を伴う進行胃癌を認めた。 外科的根治切除のためには膵頭十二指腸切除が必要と判断し，原発巣の腫瘍縮小の目的でTS-lとlow－doseCDDPの併用術前化学療法を施行した。 TS-1を80mg/m~2を3週間連日内服し，CDDPを6mg/m~25日間連続投与後2日間休薬として3回（3週間）点滴静注した。 副作用としてgrade3の白血球減少を認めた。 化学療法後の効果判定でpartialresponse（PR）の効果が得られ，十二指腸浸潤は球部までとなった。 幽門側胃切除を施行した。組織学的効果判定基準ではGrade1bであった。 組織学的効果判定基準に従い ，術後さらに術前と同様のレジメンの術後化学療法を施行した。 副作用はなかった。 術後6か月，患者は健在で癌の再発はみられない。 TS-l/low－doseCDDPは効果発現が早く術前化学療法に適していると思われた。