行政による支援事業（昭和中、後期） 1.国営事業（農業構造改善事業など)

摘要

昭和30年代（1955）に入ってから，岡山 県の露地ブドウ栽培は急速に発展した。農家 の努力は勿論，普及所，農協などの協力や指 導の成果であるが，一方では，国や県の支援 事業も大きな力であった。それによつて農家 個人では到底できない農地の造成、開発，ダ ム建設やかん水、排水設備，さらには集出荷 場建設などの流通体制の整備は，その後の産 地の発展に不可欠の条件を備える力になつ た。このような国による農業活性化支援事業 は，昭和31年(1956)に始まる新農山漁村建 設総合対策事業や，同36年（1961)の農業基本法の制定に基づく農地開発事業や構造改善 事業など，急速に発展する国民の生活や経済 状況のに対応しながら，各種の対策事業 が実施されてきた（表1)。また，美作台地 開発事業，吉井川農業水利事業のような国の 直轄事業による基盤整備も，岡山県の果樹産 地の発展に大きく寄与した。