景観法の制定と今後の展望　一日本の景鏡はどう変わっていくか－

摘要

平成16年6月18日，わが国で初めての景観に関する総合的な法律「景観法」が公布され，これにより，本年12月には一部を除き施行されることとなる。 景観法が成立した背景としては，①約500に及ぶ地方公共団体が地域の景観を整備保全するための景観に関する自主条例が制定されていたが，これら自主条例が法律に基づくものでなかったことから，いざというときの強制力に欠けていたこと，また，税財政面において国の支援が十分でなかったこと，②観光立国行動計画（平成15年7月観光立国関係閣僚会議）」や「美しい国づくり政策大綱（平成15年7月国土交通省）」などで提言されているように，政府において，美しい国土づくり，良好な都市景観の形成が政策課題となったことが挙げられるが，急速な都市化が終息し，美しい景観など潤いのある生活環境の形成に国民の関心が高まったことが大きい。 実際，地域住民による景観に関する訴訟が増加しているように，良好な景観の形成は市民生活に密接なものとなっている。 地域の景観については地域で守り育てること，そのためにはある程度の規制を受忍することについて，国民的な合意形成が確かなものとなっている社会的状況になったことが挙げられよう。