特産果樹の栽培技術西洋イチジク（桝井ドーフィン）①-水田転換作物として増殖されるイチジクー

摘要

イチジクと日本人とのつきあいは古く，昔は多くの家で家庭果樹としてイチジクが植えられており，夏～秋にかけて，柔らかくて甘いイチジクの実を食べるのを楽しみにしていたものです。 近年では，稲作との労力配分が行いやすく，しかも導入にあたり，大がかりな施設や高度な技術を必要としないことなどから，イチジクが水田への転作作目として見直されています。 岡山県内では，主に西洋イチジクといわれる「桝井ドーフィン」と，日本イチジクといわれる「蓬莱柿」が栽培されており，それぞれ表1のような特徴があります。このうち，「桝井ドーフィン」は，より省力的な仕立法である一文字整枝仕立による栽培が多く，岡山市高松，福田，浦安，西大寺，倉敷市玉島，備前市など県南部を中心に，水田転作作目として着目，導入される例が増えています（表2）。 また，岡山市高松では有機栽培に取り組むなど，高付加価値生産を目的とした新しい動きもみられます。