各種微量要素の役割と生理障害

摘要

苦土欠乏については、近年、園芸地帯 ⒐麡鋱@（特に柑橘園等）にその発生が目立つようになってきた。 水田地帯では、まだこの問題はあまり無いが、これは稲作の場合で、稲にはその不足症状があまりはっきりと現れていないからで、水田裏作の大根、白菜等の疏菜、ビニールハウス園芸によるトマト、キュウリ、ナス等には、その欠乏症が各地にみられ、裏作の麦の場合も同様で、老朽化した水田の裏作麦にその症状がみられる。 野菜、果樹等に特に欠乏が多くみられるのは、これらの作物は多肥栽培をするため、土壌中での各種肥料のアンバランスを生じやすく、また野菜類は苦土を非常に多量に吸収し、また吸収された苦土は、草体内での移動が大変早く、どんどん生長点へ行くため、古葉にその不足症がすぐ現れやすいためで、これはカルシウムと大変よく似ている。