医療用ハイドロキシアパタイト

摘要

ハイドロキシアパタイトCa_(10)（PO_4）_6（OH）_2，以下HAと略称）は生体内に存在する代表的なリン酸カルシウム化合物で，生体硬組織である歯や骨の無機成分である。 人工的に合成、焼結されたHAセラミックスは生体親和性に優れ，骨と直接結合する骨伝導能（osteoconduction）を有することが確認されている。 生体材料としてのHAの合成，成形，焼結に関する研究は1970年代に国内外で始まり，1983年には新事業開発事業団（現新技術事業団），東京医科歯科大学，旭光学工業の共同により，世界初のHA人工歯根「アパセラム」が製品化された。 1985年にはアパセラム人工骨の製造販売が開始され，以後数社からHAを主成分とした各種人工骨が製造販売されている。HA人工骨は脳神経外科，整形外科，形成外科，口腔外科，耳鼻咽喉科で自家移植骨の代替材料として幅広く臨床使用されている。