除草の風土 〔28〕 東海地方の大規模営農における水田畦畔と圃場周辺部の除草

摘要

東海地方の愛知県、三重県北部、岐阜県南部に拡がる中京 工業地帯は.日本随一の工業地帯で，従業者数や製造品出荷 額は国内最大規模である。工業の発展に伴い新たな労働市場 が生まれ，多くの農業人口が流出し吸収されてきた。中でも 自動車関連の重工業が発達した愛知県豊田市、刈谷市、西尾 市、安城市など西三河地域は，一早く兼業化が進んだ地域で ある。また，農業生産を維持するために，早くから農家間で の農作業受委託や農地賃貸借が行われ.これによつて農業規模を拡大してきた農家や営農組合も多い（村松2002)。今日 では東海地方全体において，農家の人手不足や高齢化など 様々な理由が重なり，農作業受委託や農地賃貸借は拡がつて いる。農作業受託者は「オペレーター」とも呼ばれ.受託部 会を持つ農協もある。当地の主要な作物は，水稲，ダイズ. コムギである力、地域によっては水稲しか栽培していない所 もある。オペレーターの中には，水稲，ダイズ，コムギの3 作物で延べ100 ha以上を，また，水稲だけでも70ha以上を 栽培している者もいる。このような大規模耕作での深刻な問 題は，水田畦畔，農道，用水路等の圃場周辺部の雑草防除で ある（徐2009)。