除草の風土〔11〕愛知県渥美半島におけるキャベツ畑の雑草防除とくに「草掻き」について

摘要

愛知県の三河湾を知多半島と共に抱え込むように東西に伸びている渥美半島は，全長約50km，幅5km～8kmの細長い半島で，田原市全域と豊橋市の一部となっている。地域的な違いはあるが，土壌的には砂礫質土壌，赤土粘土質土壌，黄色砂土などで，温暖な海洋性気候にも恵まれキャベツ，ハクサイ，プロツコリ，トマト，キク，切花，鉢物，洋ラン，観葉植軌花木類などの栽培が盛んな全国でも有数の園芸地帯である。特に，田原市は農業生産高日本一を誇る。 本報告のキャベツについてみると，愛知県における作付面積は約5，000haで全国第1位であるが，その大部分は渥美半島にあり一大産地をなしている。 渥美半島におけるキャベツ栽培は，1910年代にはすでに一部の地域で行われていた。 また，1930年には渥美郡高師村（現豊橋市高師町）で夏蒔き冬獲りの「高師カンラン」がつくられ，その後次第に周辺地城に広がっていった。特に，1968年の豊川用水完成は，水不足であったこの地域の農業を一変させ，飛躍的に栽培面積を増大させた。