微細藻類の光運動反応－単細胞鞭毛藻ミドリムシを例に

摘要

水中の顕微鏡的生物であり陸上植物と同様に酸素発生型光合成を行う微細藻類は共生進化系統学的な見地からも「植物」と呼ばれるにふさわしいが，その一方，鞭毛運動あるいは滑走運動などにより細胞個体を移動させる「動物」的な能力を持つものも多い。これらの微細藻類が光合成による生存に適した光条件の場所を求めて移動する「光運動反応」は光センサー分子の働きによるものだが，そのための光センサー分子というのは，光合成系の分子とは全く別物である。 本稿では代表例として最近われわれ自身が明らかにしたミドリムシの光運動反応の青色光センサー分子についておもに紹介し，次に単細胞緑藻クラミドモナスの光運動反応の緑色光センサー分子についても簡単に触れ，最後に微細藻類全体における光運動反応光センサーの分布について考察する。