Resource of Drosophila

摘要

遺伝資源として広く用いられているキイロショウジョウバエ（Drosophila melanogaster）は体長2～3mmの双題目昆虫である（図1）。 人工飼料の入った飼育瓶に成虫を移し入れると、240Cで約10日後に次世代が生じる。 この世代時間が短い事に加えて、1匹の雌が200～300の卵を産卵するので、一個体を利用して遺伝的特質の観察、解析を行うことが出来る。 安価に、多数の個体をもちいて、厳密な制御が可能な飼育環境で実験に使用できる高等真核生物である。 ショウジョウバエの遺伝子数は約14，000、ゲノムサイズは約165，000，000bpである。 ヒトやネズミの推定遺伝子数は約30，000、ゲノムサイズは3，150，000，000bpであるから、単純な比較をするとショウジョウバエは約半分の遺伝子で生物として生存していることになる。基本的な生命現象を遺伝子の機能という観点で理解するためには、ゲノムサイズが小さい高等生物の利用が有利である（図2）。