耐病性形質識別マーカーを用いた魚類の分子育種法

摘要

水産養殖においては、生産過程で毎年疾病が発生し、養殖現場に被害をもたらしている。また、疾病の治療などのための水産用医薬品の経費が生じている。 魚病被害と水産用医薬品の使用を軽減し、安全、安心な養殖生産物を作出することが社会的ニーズとなっている。 畜産や農業の分野では、優れた性質を保持する多くの改良品種が作出され産業に利用されている。 しかし、水産分野ではブリ類やウナギのように天然種苗を用いている魚種もあり、品種改良、育種が遅れている。 人工種苗が用いられている魚種においても、品種改良、育種の可能性は大きい。 水産増養殖技術の発達によって多くの水産生物で量的生産が可能になった現在、耐病性や高成長といった性質の改良への要求が高まっている。