高濃度有機性汚水を低コストで浄化: ハイブリッド伏流式人工湿地ろ遇システム

摘要

畜産農家や食品工場などからの汚水は生活排水よりも有機物濃度が高く、悪臭などの問題もあり、そのままでは河川などに放流できないため適切な処理が必要です。しかし、従来の機械的処理法では処理経費が高いことから、より低コストの技術が求められています。筆者らは、農研機構、北海道大学、㈱たすく、北海道立根釧農業試験場の協力により2006年に酪農雑排水を河川に放流可能な水質まで浄化できるハイブリッド伏流式人工湿地システムを開発しました(加藤ら2009など)。その後、農研機構、北海道大学、たすく、㈱中山組、環境エンジニアリング㈱とともに、有機物および窒素、リンの濃度が酪農雑排水より10倍以上高い養豚尿液ゃバレイショでんぷん工場廃液を処理できるろ過システムの開発に共同で取り組み、浄化効率を検証してきました(Kaocato et al.2013)。その結果、従来の伏流式人工湿地システムよりも省スぺ—ス.高能率で汚水を浄化できることを明らかにしました。本報告では伏流式人工湿地システムの仕組みや効果、コストなどについて大まかにご紹介したいと思います。