普及が進む放牧用シバ品種「朝別室」

摘要

シバ（Zoysia japonica Steud．）は我が国を含む東アジアを境産とするC4植物で、北海道南部から九州にいたる広範囲に自生し、地域の気候風土に適応した数多くの生態型に分化している。 古くから庭園周として利用されてきただけでなく、野草地における家畜の放牧飼養には欠かせない飼料資源としても知られている。 シバには、①地上および地下に葡萄茎を這わせて自ずから生育範囲を広げること、②貯蔵器官である葡萄茎が家畜に採食されず兼の再生能力に優れること、③蘭画茎と板による土壌保持能力が高いこと、④晩秋から休眠に入って冬季の凍害を回避する能力を高めることなど、他の牧草類にはない特徴がある。そのため、シバ草地は適度な放牧庄の下で極めて高い永範性を示し、定期的な管理作業や更新を必要としないため、機械作業が困埠な傾斜地における低コスト持続型放牧を担う質種として近年見直しの機運にある。