家畜生産と貧困の緩和（1）--乾燥，半乾燥熱帯草原における挑戦と機会--

摘要

草原は地球上で最大の面積を占める土地利用体系であり，世界の乾燥，半乾燥地で最も広い面積を占める植生である。 そこには，多くの，貧困で瀬戸際の生活を送っている人々が居住しいる。 乾燥，半乾燥の草原体系は，低い一次生産量（植物の生産量），低い人口密度，未発達な市場参入と道路，港湾，通信施設などの不十分な基幹施設，取引における高い出費などによって制限を受けている。 人口密度と気候変化が，この地域における牧畜民の土地利用，資源入手，家畜戦略に重大な変化をもたらしてきている。乾燥，半乾燥の草原体系は，今や，単に家畜生産の産業とみなされるのではなく，地球環境や，多様化した生活戦略に重要な結果を与える多様な利用体系として考えられている。 草原は生態系から人類に与えられた財宝であり，生態系から受けるその恩恵を維持し，観光旅行の招致や気候変動を緩和するために大変重要である。研究計画では，このような草原の多面的利用から生じる括抗作用と相乗作用を考える必要がある。 その結果，この地域の貧困な人々も，これらの生態系が備えている数多くの恩恵を手にすることができるのである。