家畜育種の理論とその応用（70）－分散成分の推定－

摘要

乱数発生プログラムを使って一連の確率変数を事後分布として生成する方法がMCMC法である。 前述したように，ある変数に対する積分が非常に困難な場合，MCMC法による乱数発生によって条件付き分布を近似的に発生させ，その周辺化（積分）を実施することができる。 このようにたとえ積分が困難であっても，多くの観測値が利用可能であれば，それらからある分布を近似できる（stochastic approximation）。 したがって事後分布から直接サンプルを抽出するマルコフ連鎖を用いることによって，収束時において積分の近似値を得ることが可能である。