草地維持管理（2）-追播草の定着促進-

摘要

播種床の土壌の低水分環境下におけるオーチャードグラスの発芽率はライグラスと比べて極めて低い7）ことから，発芽要因に重要な土壌の水分環を改善する必要がある。 そして，土壌が水分を作物根へ供給する能力は主として土壌の保水性と透水性にあり，これらが作物の生育に与える影響は極めて大きく，さらにその保水性は土壌の有効水分保持能力を示す指標とされている。したがって，牧草を追播する際，とくに小雨期など土壌の低水環境下において発芽促進を図るため，土壌の水分環境を改善する観点から，土壌の保水性がオーチャードグラスの初期発芽に及ぼす影響について明らかにする必要がある。 しかし，牧草の発芽率および発芽速度に及ぼす土壌水分の影響に関するこれまでの研究報告は，とくに小雨期における土壌の水分環境改善を目的としたものではない。 また寒地型牧草であるオーチャードグラスを追播する際，既存草との競争を考慮した初期発芽に及ぼす土壌保水材料の寛響に関する詳細な研究は行われていない。