垂直磁気記録用磁性材料II--Co-Cr膜開発事始

摘要

本稿では垂直記録が実用化なった今日でもその基本材料として用いられているCo-Cr合金スパッタ膜の開発へのあらすじに焦点を当てCo－Cr膜の垂直磁気異方性の発見そして，垂直記録媒体として用いられていく経緯など，材料開発の視点で取りまとめている。 30年を経た今でもその本質はいささかも変わっていない。本稿で述べてきた岩崎研究室でのCo－Cr膜に至る経緯をFig.19に一覧で示した。 最後に筆者が新たにCr量を制御し組成を変えて作製したM_sの異なるCo－Cr膜のM-H loopと100万ボルト電子顕微鏡による膜構造観察結果をFig.20に示す。 1978年に初めて国際会議Intermag （Florence）で発表したもので記録媒体として必須のgranular構造であることも同時に報告している。