国内需要の本格回復前に原料価格が高騰--中国の輸出依存度低下で同国需給が国際相場を左右

摘要

日本の昨年のレアアース輸入量は，08年秋の金融危機以降にほとんどの需要家が在庫圧縮を進めたうえ，一部製品の需要が低迷したことから，19,290tで前年比45％滅と大幅に落込んだ。光学レンズや水素吸蔵合金が好調で，研磨材も横ばいだったものの，蛍光体やネオジム-鉄-ボロン（Nd-Fe-B）系磁石が低迷。このうち，国内のNd系焼結磁石生産は依然としてピークの7～8割水準で，本格回復の途上にある。だが，原料のNdやジスプロシム（Dy）は早くも高騰を始めた（既報·4月柑日号）。これは，日本を始め世界のレアアース需要が昨年落込んだものの，中国だけは早くも回復し，中国の輸出依存度が低下したことが背景となっている。包頭希土高科が北方鉱の分離品に対する統制を強め，南方の鉱山生産量が減少し，供給が絞られる一方，中国内の需要が好調であるため，値上げがまず中国で浸透し，国際相場に反映されるかっこう。このため，日本のレアアース関連メーカーは，需要が回復し原料の手当てを本格的に進める前に，すでに原料価格が値上がり。生産設備の稼働率が低いにもかかわらず，早くも製品の値上げを検討する必要性が出ている（中国輸出·国内需要の詳細は5月1日号に掲載予定）。