内乱を乗り越えて…スペイン軽巡「アルフォンソ」級の回顧

摘要

スペイン海軍は両大戦間に3タイプの軽巡を整備したが，アルフォンソ級3隻はその最終型にあたる。イギリスのE級をタイプシップに，著名な英軍艦デザイナー，フィリップ·ワッツが設計し，全艦スペインのフェロル海軍工廠で建造した。軽巡としては比較的大型で，耐航性に優れ，兵装,防御力とも強力なのが特徴である。1936年7月から39年3月のスペイン内乱では，1隻が国民戦線側，2隻が人民戦線側に立って戦い，後者の1隻は大きな損傷を負った。内乱に勝利した国民戦線側はフランコ将軍による独裁体制の下，第2次大戦では非交戦国の立場をとリ，1943年以降は枢軸国に対して距離を置いた。時期は前後するが1931年の王政から共和制への移行，そして内乱は，ネームシップの艦名を2度も変えることになる。ここでは政治と内乱に翻弄され続け，大戦中から戦後にかけてようやく安息の日を迎えた本級の艦影を，新造時を含めて御覧に入れよう。