来年4月、「FIT」から「FIP」に変わる再生可能エネ買取制度

摘要

FIT(固定価格買取)制度などの仕組みを定めた再エネ特措法が2012年の導入から10年を経て、来年4月1日より改正施行される。再エネの急速な拡大にFITが果たした役割は大きいが、同時にさまざまな歪み·矛盾も生じてきた。中でも最大の問題は「賦課金」制度だろう。電力会社が再エネ電気を買い取ったコストの一部は、電気料金に上乗せされる形で国民が負担しており、2021年度の見込みでは総額2.7兆円に達するという。今後、再エネの導入をさらに進めるためには、この種の負担を極力抑えることが制度の持続可能性を担保するうえでも望ましい。また、FIT制度は電気の使用者のニーズや競争によって価格が決まる市場原理からは切り離されており、再エネ発電事業者はいつ発電しても同じ金額で買い取ってもらえるため、電気の需要と供給のバランスなどを意識しなくてもよかった。しかし今後、再エネを主力電源としていくのであれば、火力など他の電源と同じように需給のバランスや市場の状況に応じた発電を行える自立型の電源にしていく必要がある。そこで昨年6月、再エネに市場原理を導入するに当たっての段階的な措置として、電力市場の価格と連動した発電を促す「FIP制度」の導入が決まった。FIPとは「Feed-in Premium」の略称で、再エネの導入が進む欧州などでは、すでに取り入れられている。この制度ではFIT制度のように固定価格で買い取るのではなく、再エネ発電事業者が卸市場などで売電した時、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)を上乗せすることで再エネ導入を促進するもの。プレミアは1ヵ月ごとに更新されるので、売電事業者には大局的な経営判断や相場感覚が求められるようになる。改正のボイントは他にも幾つかあるので、機会を改めて詳しく取り上げてみたい。