愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

摘要

今年の九月、経営史学会は、創立五〇周年の記念大会を東京の文京学院大学で開催した。世界各国から多くの参加者が集まり、大きな盛り上がりをみせた。社会科学の諸分野の中で比較的新しい学問である経営史学は、一九二九年の世界大恐慌前後にアメリカで誕生したことからもわかるように、現実社会の動向とつねに密接な関係をもって発展してきた。第2次世界大戦後の世界的規模での企業経営の発展に歩調を合わせて経営史学は世界各地に広がり、まずは先発工業化諸国で、そして最近では新興国で、経営史学会の設立があいついでいる。