脆弱な市民社会とポピュリズム：ポーランド

摘要

ポーランドにとって，EUへの加盟は評価しすぎることはない出来事である。近隣諸国による侵略や内戦などにより17世紀後半以降，ポーランドは自律的な国家として機能せず，1795年の分割で欧州の地図から消えてしまった。第一次世界大戦後独立を果たしたものの，第二次世界大戦後は事実上ソ連の植民地に過ぎない存在になった。NATO(1999年)およびEU(2004年)への加盟により約300年ぶりに安全な国境と経済成長のチャンスを獲得した。ポーランドは「ヴィシェグラード·グループ」と「ヴァイマール三角連合」のメンバーとして東方EUの代表を務めた(例：ウクライナの民主化など)。2009年7月にポーランドの元首相J.ブゼック氏が旧共産主義の加盟国から初めて欧州議会議長に選出され，2014年から2019年までD.トゥスク氏が欧州理事会議長として務めた。EU加盟後，ポーランドは経済的な改善も示した。2004年のポーランドの一人当たりGDPはEU平均の22.5%しかなかったが，2018年には41.7%まで上昇した。同様に，2004年のポーランドの一人当たりGDPはギリシャの30.4%，ポルトガルの37.1%であったが,2018年にはギリシャの75.9%,ポルトガルの65.8%まで上昇した。ギリシャとポルトガルはポーランドょり物価水準が高いため，PPPで計算するとポーランドは2019年にポルトガルの水準まで上がり，ギリシャを2015年に上回ったことになる～(1))。リーマンショックとGIPS危機の際もプラス成長を続けた。