第18回WODCON論文発表幅広ドラグヘッド付きアフトセンタードラグ方式を採用した革新的ドラグサウション浚渫船

摘要

新しい「清龍丸」は環境にやさしく薄層平坦掘りが可能な浚渫機能、外洋において低粘度油から高粘度油まで 対応可能な油回収機能、そして災害時に迅速な対応が可能な防災機能と言う3つの機能を同時に有する世界的 に見ても類を見ない多機能且つ高機能な最新鋭のドラグサクション浚渫兼油回収船である。 本船は国土交通省中部地方整備局が発注し、三菱重工業㈱神戸造船所で建造され、平成17年3月31日に完工し た後、現在は名古屋港にて浚渫工事に従事している。 旧「清龍丸」は、両舷にドラグアームを有する通常のサイドドラグ方式の浚渫船であったが、本船の浚渫シ ステムは、掘り残し・余掘り・筋掘りのない高精度平坦浚渫の実現のために新たに開発された幅7.2mの幅広ド ラグヘッドの採用を基本として構成された。この為、本船は船尾中央に1本のドラグラダーを有する世界的に も非常に稀なアフトセンタードラグ方式の浚渫船となった。名古屋港における実海域浚渫試験において、非常 に正確且つ高含泥率の浚渫結果が得られた。 本論文は名古屋港での浚渫実測データを基に新旧「清龍丸」の総合的な浚渫効率を比較検討した結果を紹介 する。 具体的には浚渫土量と浚渫サイクル時間の比較、堀跡形状の比較を実施した結果、新「清龍丸」の浚渫効率 が旧「清龍丸」に比較して約35%向上したことが実証できた。