わが国における雨水貯留浸透，利用および実用技術

摘要

雨水貯留浸透施設が登場して，早30年ほどが経過した。都市化による雨水流出増に対処するために，洪水の発生源で流出を抑制する施設としての初期の導入から，地下水涵養，湧水·低水の保全や雨水の有効利用による都市の熱環境の改善などの都市の水循環系健全化までの幅広い用途展開が図られるようになつてきた。本稿では，雨水貯留浸透施設について概説し，その効能(流出抑制，地下水涵養，節水，ヒートアイランド対策)事例を紹介するとともに，現状の課題(局地的集中豪雨への対応，浸透施設の目詰まり対応，道路における雨水管理，人工涵養時の水質など)を整理し，今後の技術展開の方向性を示した。