海水域における次亜塩素酸塩と過酸化水素の使用とその影響

摘要

冷却水に海水を用いる大型熱交換器の総括伝熱係数低下防止剤として，次亜塩素酸塩と過酸化水素が使われている。筆者らは，これらの薬剤が海水域に与える影響について調査するため，「人工海水」および「模擬海水」を用いた実験を行なった。その結果，次亜塩素酸塩と海水の混合により，トリハロメタンならびに臭素酸が生成すること，過酸化水素と海水の混合ではこれらが生成しないことを見出した。また，次亜塩素酸塩と海水の混合により生成する有機臭素化物は，次亜臭素酸または亜臭素酸を経由して生成している可能性が高いことも見出した。