新規植生浄化法によるOHラジカル生成およびPOPs除去への適用

摘要

物体内の過酸化水素を利Wしてフェントン反応およびフェントン様反応を起こしOH ラジカルを生成するファイトフヱントン法は，低コストで高性能な植生浄化法（ファイト レメディエーシヨン）として開発が進んでいる。本研究では，0Hラジカル検出蛍光試薬と 共焦点レーザー顕微鏡を用いてファイトフヱントン法におけるOHラジカル生成/反応サ イトを三次元的に観察した。その結果，鉄触媒として硫酸鉄を用いた場合には根の全体で， Fe(III)コロイドや鉄担持ゼオライトを用いた場合には根の表面で，OHラジカルの生成を 示唆する蛍光が観察された。このことから，鉄化合物の選択により，OHラジカル生成/反 応サイトをコントロールできることが示唆された。さらに，3種類の鉄化合物を用いて残 留性有機汚染物質（POPs)であるペンタクロロフェノール（PCP)の回分処理実験を行なっ た結果，溶存性の鉄化合物を用いた場合，ファイトフェントン反応によるPCPの除去が確 認された。加えて，PCPの中間生成物の一つであるテトラクロロヒドロキノン（TCHQ)が 処理水中から検出され，ファイトフヱントン法によりPCPが分解されたことが明らかにな った。一方，固体状の鉄化合物を用いた場合には植物による除去能力に大きなばらつきが みられたため，ファイトフェントン法によるPCPの除去促進効果については今後検討が必 要である。