粉体炉過によるクリプトスポリジウム濃縮保存法の開発

摘要

新規クリプトスポリジウム濃縮方法として、酸溶解性のハイドロキシアパタイト球状粉体をケーキ炉過層とした、粉体炉過法を開発した。本炉過法では積層した粒子の間隙に目的粒子が物理的に捕捉される。直径が均一な球体を積層すると想定した場合、間隙に内接する球の直径は粉体の直径のおよそ15％と計算された。クリプトスポリジウムの描捉には、オーシストの直径5μm を0.15で除した逆算で得られる、33μm のハイドロキシアパタイト粉体が適すると考えられた。10～40μm の粉体を使用したオーシストの捕捉率は、概ね9割あるいはそれ以上であった。粉体中のオーシストは、2週間の冷蔵保存と塩酸処理の回収後でも、抗原性と内部微細構造への影響はなかった。直径34mm の使い捨てプラスチック容器内に形成させた炉過フィルターでは、水道水100L 以上の炉過が可能であった。炉過濃縮物は、万一の際に迅速な検査を可能とし、本濃縮保存法の活用が期待された。