「北海道駒ケ岳を望む」七飯町西大沼より

摘要

道南地方にそびえる秀峰•駒ケ岳は，1640(寛永17) 年の大噴火以来，大小数十回の噴火をくり返している活火山である.かっては富士山のような円錐形をなしていたが，噴火のたびに山頂部を吹き飛ばし，主峰• 剣ヶ峰（1,131m)が天をつく特異な山容として残り，その下に稜線の駒の背，馬の背(900〜850m)をつくりあすえたねげた.かって大館(松前)城主であつた相原李胤が戦いに敗れ，大沼湖畔に追い詰められ，愛馬の背をなでながら別れを告げ，湖底深くに身を沈めた，愛馬はたてがみを振っていななき廻つたが，やがて秀峰に駆け上り，姿を消した.このため秀峰はいつしか駒ケ岳と言われるようになり，毎年，李胤の入水した7月3日になると，悲しい駒のいななきが据野に聞こえてくるという.