墨滴

摘要

九州新幹線西九州ルートの未着工区間の整備方式を巡って、先月31日に国土交通省と佐賀県との4回目の「幅広い協議」が開かれた。この中で県が、フル規格で整備する場合の3ルートの比較検討を提案し、同省が受け入れたのは、もつれる協議において大きな前進だった▼3ルートとは、従来の新鳥栖から長崎線沿いを走る「佐賀駅経由」、長崎自動車道に近い「佐賀巿北部経由」、巿南部の「佐賀空港経由」。このうち佐賀駅経由は同省や与党、JR九州が適しているとの見解を示している▼墨滴子も佐賀駅経由が妥当だと考えるが、佐賀空港経由に注目し、地図を広げてみた。このルートでは、筑後船小屋から西側へ分岐し、空港を経由して既着工の武雄温泉駅まで延びる。空港から直接、武雄温泉や長崎方面に旅行者を送れるというメリツトがある▼ただ従来より遠回りするため時間短縮効果が薄れる上、離れた並行在来線の存続の必要性も高まるだろう。一方、未着工部分の一部に福岡県が含まれ、佐賀県が懸念する建設負担は軽減されそうだ▼ルート上に福岡県有数の観光地·柳川があり、有明海区間は新幹線で初の海上ルートとなるのも興味深い。いずれにしろ、佐賀県にはフリーゲージトレイン減速走行などの弥縫策(びほろさく)ではなく、将来の佐賀県や西九州エリアの維持発展を見据え、正々堂々と議論してもらいたい。