鉄道無線利用の現状

摘要

鉄道で利用されている無線システムの利用周波数帯は、数kHz～数十GHzまでの広範囲にわたっています<図1>。前段で触れた列車無線システムでは、主に30～300MHzのVHF帯や300MHz～3 GHzのUHF帯が利用されています。これらの周波数帯はアンテナを小型化でき、雨の影響も受けにくいことから、鉄道だけでなく、他の業務用無線や携帯電話、無線LANなどの移動体通信システム、さらにはFMラジオや地上デジタルTVなどの放送など、多くの業務に利用されています。そのため、在来線のデジタル列車無線システムを例にすると、地上デジタル放送の1000分の1程度の限られた周波数幅を効率的に使って、列車の安全•安定運行を支える情報の伝送を行っており、その伝送容量は最大で数Mbpsとなっています。一般的に周波数の幅がぬいほど多くの情報伝送が可能なため、より多くの情報を伝送するためには、広なヽ周波数幅が利用可能な新たな周波数資源の開拓が必要です。