墨滴

摘要

JR東日本は、山形新幹線用にE8系新型車両を新造するとともに、福島駅で新幹線と在来線を接続する上りアプローチ線の新設工事に着手する。同駅では現在、アプローチ線が1線しかなく、上下「つばさ」が共用して、ダイヤ編成上のネックとなっていた▼同じ新在直通の秋田新幹線が分岐する盛岡駅では、アプローチ線は同じく1線だが、駅からやや離れた北方で西側に分岐している。上り「こまち」はアプローチ線から本線上の渡り線を通って盛岡駅の上りホームに直接入ることができ、下り本線を横切るのは1回で済む▼だが、福島駅は奥羽線がすぐに分岐する線形のため、アプローチ線から上りホームへの渡り線を設けることができない。このため、「つばさ」と併結する上り「やまびこ」は、福島駅手前で渡り線を通っていつたん下りホームに入り、併結後に再び上り線に戻るため、都合2回の平面交差が発生している▼新設する上りアプローチ線は、地上から高架の新幹線をくぐって東側の上りホームに接続。本線の平面交差を解消し、上下「つばさ」の同時発着が可能となる▼工期約7年という大掛かりな工事だが、輸送障害時のダイヤ復旧時間短縮や、より柔軟なダイヤ編成、北海道新幹線札幌開業を見据えたさらなる高速化など、将来に向けた重要な布石となる。山形新幹線のさらなる飛躍に期待したい。