中国国内の交通·インフラ整備政策の視点から見た「一帯一路」

摘要

「一帯一路」は今後も中国の国策，そして外交政策の中核として推進していくことに疑いの余地はない。一方，その発端は90年代後半から始まつた西部大開発計画であり，東部沿海地域と異なる経済発展の方式を模索する際に出来上がった考えである。そのため.東部と異なる国際交通インフラの整備やルートが必要となる。これまで長年交通ィンフラの整備が東部沿海地域に傾斜してきたことで中西部と周辺国との交通インフラ整備が後回しにされてきた。しかし，周辺国（ロシア·CIS，ASEANを中心に）貿易の急速な拡大をきつかけに，中西部における交通インフラ整備のうねりが徐々に押し寄せてきた。結果として，中西部における交通ィンフラの整備が国家政策となり，それに合わせた通関制度の確立や道路輸送協定の締結，さらに燃料の輸出などで中国の影響力をじわじわと周辺国を中心に拡張してきたことは事実である。