NNラジカル

摘要

ニトロニルニトロキシド（nitronylnitroxideまたは4,4,5,5-tetramethylimidazoline-1-oxyl-3-oxide）ラシカノレの略称。安定有機ラジカルの一種であり，炭素原子（α炭素）を挟んで二つのニトロキシド（N-O）基をもつ五員環の骨格構造を有する。NNラジカルの希釈溶液のESRスぺクトルを測定すると，二つの等価な~(14)N核（I=1;Iは核スピン量子数）の超微細結合により，1:2:3:2:1の五重線が観測される。また，不対電子は二つのN-O基上にほぼ均等なスピン密度をもつ。α炭素に置換フェニル基が結合した置換フェニルNNラジカルが有名であり，様々なタイプのものが合成されている。特に4-nitorophenyl NNラジカル（p-NPNN）は，世界で最初に発見された有機強磁性相をもつことで有名である。NNラジカル結晶は有機磁性体として理論，応用の両面から注目されている。また，NNラジカル分子は，高スピンの金属錯体を合成する際に配位子として用いられることも多い。