RC造縮小試験体に生じる曲げひぴ割れ量の実大スケールへの換算評価手法の定式化とその適用性

摘要

RC造縮小試験体に生じる曲げひび割れ量の実大スケールへの換算評価手法を提案し，検証実験により提案手法の妥当性や適用性を検証した。その結果を以下にまとめる。(1) 縮小試験体と実大試験体におけるひび割れ幅最大値(max)_W_f，ひび割れ幅平均値W_(av)，ひび割れ総長さΣLの比は，平均幅一本数関係，最大幅—縮小率関係，または総長さ一本数関係によって，実験結果を± 30%程度の精度で評価できた。(2) 実大轼験体のひび割れ本数nは，部材の荷重-変形関係からひび割れ発生領域を特定し，CEB-FIP式により算定されるひび割れ平均間隔で除すことによりその推移を概ね捉えることができた。(3) 実大試験体のW_(av)，ΣLは，提案した換算評価手法に縮小試験体の実験結果と実大試験体のひび割れ本数計算値を適用することで±30%程度の精度で評価できた。せん断余裕度を実大試験体と対応さ せることに主眼を置いた一般縮小試験体であっても同様である。(4) (max)_W_fの換算評価精度の安定性はW_(av),ΣLよりも若干落ちるが，平均的には実大試験体の(max)_W_fを概ね捉えることができた。(5)今回提案した換算評価手法は，一般縮小•幾何学的縮小によらず箱小率1/3程度まで推定精度はそれほど変わらなかった。ここで提案した手法では一般綰小試験体の(max)_W_fの換算評価を行うことができないため，めの評価に主眼を置く実験を行う場合には，幾何学的縮小試験体を用いるべきである。以上の結果より，本研究で提案した換算評価手法を用いることにより，榷小された鉄筋コンクリート造梁に生じる損傷量から，実大試験体の損傷量を概ね推定することができる。今回は梁試験体を対象としたが，柱についても同様の理論で換算評価が可能となると考えられ，今後検討を進めて行く予定である。%In this paper, a conversion method to obtain crack width and length of full scale RC structure from experimental results of scaled specimens was proposed. A quantitative analysis for crack in RC beams was carried out, comparing static loading test results of a full-scale specimen with those of three scaled specimens to validate the proposed method. Converted crack width and length from the scaled specimens by proposed method agreed well with those observed in full-scale specimen, with plus or minus errors of 30%.