外国人留学生と日本人学生海外派遣の現状と動向

摘要

日本政府観光局の発表によると，2011年の日本人海外旅行者数は1，699万人，訪日外国人旅行者数は622万人にのぼる。じつに日本人の8人に1人が海外に出向き，日本の人口の1/20に相当する「外国人」が日本にやってくる時代となっている。今から約30年前の1980年，日本人の海外旅行者数は391万人（人口比3%)に過ぎず，さらにその10年前1970年では，来日する外国人旅行者数（96万人）の方が日本人の海外旅行者数（66万人）を上回っていた。日本の国際化が急速に進行したことを示す統計データであるが,本当に日本社会は国際化したのであろうか。昨今,グローバル化やグローバル人材育成などの見出しがマスコミで取り上げられることが多くなつている。これは,企業の海外進出と多国籍化が進み，市場も製造現場も国境を越えることが当然のこととなってゆく中，仕事内容ならびにそれに従事する者に，真の国際化が要求されるようになつてきたことが背景にあると思われる。本稿では，海外から日本を訪れる留学生ならびに海外での就学を目指す日本人学生の現状と動向，就職活動の現状について解説するものである。