船体構造疲労ダメージの実用的なモニタリング: 疲労センサによる余寿命診断技術

摘要

船舶,橋梁，クレーン，鉄道車両などの鋼溶接構造物では，従来，定期的に検査することでその健全性を確認し，もし損傷が見つかれば補修や補強，取替などを行うという"事後保全"により対処してきた。しかし，この方法では予期せぬ不稼動期間の発生やコストがかかり，使用計画や保全に対する費用計画も成立しにくくなっている。そこで，損傷が発生した後ではなく,損傷がいつ発生するかを予め推定して計画的に保全を行う"予防保全"の考え方が注目されている。また，定期的なメンテナンスを施すことにより延命を図りたいという需要も高まる傾向にある。このような"予防保全"を行うには，まず可能な限り定量的に対象鋼構造物の損傷状況を把握して寿命を診断する必要がある。