雷害対策に必要な雷パラメータと観測装置

摘要

電力設備の本格的な雷害対策の歴史は1世紀以上になろうとしており、雷による停電回数も時間も大きく減少している。それにもかかわらず、現在でも、ダイヤル式の黒電話の時代には、あまり目立たなかった情報通信設備の雷被害が急増している。また、風力発電など再生可能エネルギー発電設備の雷被害も目立っている。雷害原因の解明のためには、雷の性状を明らかにすることが重要である。これは、地震や風など自然現象に関わる被害の原因の究明に共通することである。地震はいつ、どこで発生するかが分からない。また、その大きさだけでなく、時間的な変化が問題になる。雷の場合には、それに加えて、主要な現象の継続時間が1,000分の1秒程度であり、また、1,000万分の1秒オーダーの現象が、碍子などの絶縁破壊に関係している。すなわち、いつ、どこに落ちるか分からないことと、高速現象の測定器が必要になることが、雷の観測をかなり難しいものにしている。