超電導応用·最前線

摘要

地球温暖化防止のために、輸送やエネルギーなどの様々な分野でCO_2排出削減目標が掲げられている。航 空輸送によるCO_2排出は全排出量の1〜2%程度にと どまるものの、航空機が飛行中に上空で温暖化ガスを排 出する影響などを考えると、将来の航空輸送が地球温暖 化に及ぼす影響は無視することができず、航空分野にお いても同様にCO_2削減目標が掲げられている。民間航 空輸送の技術開発や運輸安全を国際的に取りまとめてい る国際民間航空機関（ICAO)において、今後もCO_2排出 抑制の努力を行わないと、航空機が排出するCO_2は今 後2040年までに2.8〜3.9倍に増加してしまうと予測 されており、これを抑えるため、従来の化石燃料に代わ る代替燃料の導入を進めるとしている。代替燃料の 候補としては、植物や藻類から精製するバイオ燃料が最 有力候補となっているが、バッテリ等を使用した再生エ ネルギー由来の電気や液体水素などもあり、特に液体水 素を燃料とする場合、機器を超電導化する際の冷熱源と して有望であるため、国内外の研究機関で航空機の究極 的な目標として液体水素を利用した超電導推進を掲げている。