豊かざ高齡化社会の実現に向けた人間中心のシステムデザィン

摘要

これまでわが国のものづくり産業は，国内GDPの2割を担い，労働者の2割の働く場を提供してきた.しかし，近年の激しいグローバルコスト競争のもと，付加価値総額減少，利益率低下，雇用減少などのさまざまな課題が指摘されている.日本では，超長寿社会の100年ラィフ時代を迎えて，生産年齢人口（15〜64歳割合）が2010年時点の63.8%から2060年には50.9%にまで低減する一方で，国民の40%が高齢者（65歳以上）になる[1]など，社会構造と価値の変化が世界に先駆けて起こることは確実である.生産年齢人口の半減は，市場を形成している重要な消費者層の減退を引き起こすことが懸念される.