園芸療法: 経験値から科学値への模索

摘要

いもほり体験の楽しさと爽快感．幼稚園児がサツマイモを嬉嬉として収穫している作業風景，「おもしろい」，「うれしい」とインタビューに応える様子が秋になるとテレビや新聞で報道される．夕食のテーブルを囲んで収穫したサツマイモ料理をほおばりながら，家族にいきいきとした表情で報告している姿も容易に想像できよう．いもほりが心身にもたらすこのような効果は，認知症の高齢者にもみられ，収穫を渋っていても作業後には笑顔が絶えることがなく，収穫仲間や家族との会話も増えることが知られている．晴れた空の下で，土のにおいをかいだり，空気の湿りを感じながら作物に全身を使って直接働きかける作業であるから，五感がとぎすまされ，没頭でき，その結果，爽快感が得られるのであろう．自身で育てたものであればよりいっそう充実感や達成感が得られるであろう．