模擬道路環境空気を用いた大気質指標SOIにおける嗅覚測定精度の検証

摘要

著者らは既往の発表において、「汚染成分がヒトの臭気の検知を妨げる程度」を新たな大気質指標SOI(臭気指数変化Shift of Odor Index,以下SOI)として提案した。SOIは汚染空気中におけるにおいの弁別能力低下の度合いを表したものである。SOI測定では、基準臭気試料に対して、無臭空気と汚染空気(=測定対象の試料空気）の2種類の希釈用空気で臭気指数を計測する。したがって、SOIの測定精度検証のための基礎的研究においては、試料空気の組成のばらつきに起因する誤差要因の排除のため、試料空気である汚染空気を一定組成で模擬的に作成して使用する必要がある。さらに、主要な測定対象の汚染空気と類似した臭気質の模擬試料空気は、汚染空気によりそのにおいが隠れやすい可能性が高ぐそうした性質はSOIにおける基準臭気として最適であると考えられる。そこで本研究では、主要なSOI測定試料と想定している幹線道路環境の汚染空気を、その機器分析データより抽出された主要成分を元に標準試薬で模擬的に作成し、嗅覚測定により実際の大気試料との類似度を確認した上で、精度検証に適用した。