紙系包装材料の基礎(その2、紙の構造と印刷)

摘要

金属などの他材料と異なり、その物性が構造と深く関わるのが紙材料の大きな特徴の一つであり、以下紙の構造について解説します。 繊維集合体である紙においては、繊維が抄き網の上にほぼランダムに沈着するので、紙面に平行な方向では複数の繊維間結合部分が作る多角形を単位とするネットワーク網目構造が、また厚さ方向では、抄紙がほぼろ過プロセスで進むので繊維の層状的構造が認められます(図1参照)。またクラフトパルプや古紙パルプからの紙では、繊維は扁平化してリボン状であり、すなわち繊維ルーメン(繊維壁に囲まれた繊維内腔)はほぼ消失し、繊維断面の長軸方向も紙面と平行です。加えて包装用も含め市販の紙には、紙表面や、内部の繊維間とくに繊維間結合周辺に大なり小なり填料が混入しています。これら紙の構造を表す構造量としては、坪量、厚さ、密度がその代表です。