新しい高齢化指標の構築

摘要

20世紀は"人口爆発の世紀''であったが、21世紀は"人口高齢化の世紀"となるであろう、と欧米における人口学者らが言い始めたのは21世紀の初頭であつた。人口高齢化問題が先進諸国を中心に政策研究の対象と本格的になったのは80年代に入ってからであり、その当時に世界人口の75%を占めていた開発途上諸国では人口高齢化は関心の薄い問題であった。特に開発途上諸国では当時まだ平均余命が50年前後から60年半ばであつた国々が大半であった。そのような状況を反映して国連が主催する80年代、90年代の高齢化会議などでは、高齢者の年齢区分を長寿化現象が進行していた先進諸国に対しては65歳以上としたが、開発途上諸国では60歳以上を高齢人口として使い分けていた。しかし、開発途上諸国の平均寿命の改善が急速に進むにつれて、国連は65歳以上を高齢人口として常識的に使うようになってきている。